健康診断や血液検査で、
「フェリチン」
という項目を見たことはありますか?
私は最初、
「鉄分を見る検査なら、血清鉄とかヘモグロビンじゃないの?」
と思っていました。
でもフェリチンについて調べてみると、どうやら少し役割が違うようです。
フェリチンをものすごく簡単に言うと、
体の中に蓄えている鉄の量を知るための目安
です。
フェリチンは、体内で鉄をためておく働きをするたんぱく質。
血液中のフェリチンを測ることで、体の中にどのくらい鉄が蓄えられているのかを間接的に知ることができます。
つまり私は、
フェリチン=鉄の貯金
くらいのイメージで覚えています。
鉄は体の中で何をしている?
鉄というと、
「貧血に関係する栄養素」
というイメージが強いですよね。
鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンをつくるために必要で、ヘモグロビンは全身へ酸素を運ぶ役割を持っています。
食事などから入ってきた鉄を、すべてその場で使い切るわけではありません。
すぐに使わない分は、主にフェリチンという形で体内に蓄えられています。
必要になれば、その貯金から鉄を取り出して使う。
そう考えると、
ヘモグロビン=今働いている鉄
フェリチン=いざというときのために蓄えている鉄
というイメージが分かりやすいかもしれません。
厳密にはもう少し複雑ですが、私はまずこのくらいで理解しています。
ヘモグロビンが正常でも鉄不足のことがある?
ここがフェリチンについて知って、私が一番「へえ!」と思ったところです。
鉄が不足し始めても、すぐにヘモグロビンが下がるとは限りません。
まずは体に蓄えていた鉄を使って補おうとします。
つまり、
鉄の貯金を取り崩している状態
です。
そのため、まだヘモグロビンは基準範囲内でも、フェリチンが低くなっている場合があります。
鉄不足がさらに進み、蓄えていた鉄だけでは足りなくなると、やがてヘモグロビンも低下し、鉄欠乏性貧血につながることがあります。
フェリチンが低い場合は、体内の鉄の蓄えが少なくなっていることを示す重要な手がかりになります。WHOもフェリチンを鉄の状態を評価する指標として使用しています。
血清鉄とフェリチンはどう違う?
これも最初はややこしいところ。
血清鉄は、その時点で血液中を流れている鉄を調べる検査です。
一方フェリチンは、
体内に蓄えている鉄の量を推測する検査
です。
たとえるなら、
血清鉄は**「今日お財布に入っているお金」**
フェリチンは**「銀行口座の貯金」**
みたいな感じでしょうか。
財布にお金が入っていても、貯金がほとんど残っていないことはあります。
逆に、その日の血清鉄だけを見ても、体全体の鉄の状態までは分からないことがあります。
そのため鉄不足を調べるときは、フェリチンだけ、血清鉄だけを見るのではなく、ヘモグロビンや赤血球の検査、場合によってはトランスフェリンや総鉄結合能など、複数の検査結果を合わせて判断します。
フェリチンが低いとどうなる?
フェリチンが低いということは、基本的には
体に蓄えている鉄が少なくなっている
ことを意味します。
鉄不足が進むと、鉄欠乏性貧血につながることがあります。
鉄不足や鉄欠乏性貧血では、
- 疲れやすい
- だるい
- 息切れ
- めまい
- 動悸
- 頭痛
などがみられることがあります。
ただし、こうした症状は鉄不足だけに特有のものではありません。
「疲れるからフェリチンが低いに違いない」
とは判断できないので、気になる症状がある場合は血液検査などで確認する必要があります。
フェリチンはいくつあればいいの?
これが意外と難しいところです。
フェリチンの基準値は、性別や年齢、検査機関によって違います。
たとえばMedlinePlusでは成人女性13~150ng/mL、成人男性30~400ng/mLという一般的な範囲を紹介していますが、実際の基準範囲は検査機関によって異なるとされています。
Mayo Clinic※でも男女で異なる参考範囲を示しています。
そのため、
「フェリチン○○以下なら全員鉄不足」
と一つの数字だけで判断するのは難しいようです。
検査結果を見るときは、まず自分が受けた検査機関の基準値を確認し、必要に応じて医師に相談するのが安心です。
※MedlinePlusは、アメリカ国立医学図書館(NLM)が運営している一般向けの医療情報サイトです。NLM自体がNIH(アメリカ国立衛生研究所)の一部やから、かなり公的で信頼性の高い情報源とされています。
※Mayo Clinicはアメリカの有名な非営利の医療機関・研究機関です。日本語では「メイヨー・クリニック」って呼ばれる。病院として診療もしているし、医学研究や医師教育もしてて、一般向けの医療情報サイトもかなり充実おり、基礎的な医学情報を確認する参考元としてよく使われています。
フェリチンは高ければ高いほどいい?
では逆に、
「鉄の貯金なら、多ければ多いほどいいんじゃない?」
と思ってしまいますが、そういうわけでもありません。
フェリチンが高くなる理由には、鉄が体内に多く蓄積している場合だけでなく、
- 炎症
- 感染症
- 肝臓の病気
- 一部の慢性疾患
などがあります。
フェリチンは炎症によって上昇することがあるため、
フェリチンが高い=鉄がたっぷりある
とも限りません。
WHOも、感染や炎症がある場合にはフェリチン値の解釈に注意が必要だとしています。
ここがフェリチンのちょっとややこしいところですね。
鉄のサプリを飲めばいい?
フェリチンが低いと聞くと、
「じゃあ鉄のサプリを飲めばいいのでは?」
と思います。
ですが、自己判断で大量の鉄を長期間摂り続けるのはおすすめできません。
フェリチンが低くなる原因には、
- 食事から摂る鉄が不足している
- 月経などによる出血
- 消化管からの出血
- 鉄の吸収がうまくいっていない
など、さまざまな可能性があります。
原因によって必要な対応も変わります。
反対に、鉄を必要以上に摂取すると体内に鉄がたまりすぎる可能性もあります。Mayo Clinicでも、高フェリチンの原因の一つとして鉄サプリメントの過剰摂取を挙げています。
そのため、フェリチンが低かった場合は、
まず「なぜ低くなっているのか」を確認すること
が大切です。
フェリチンを知ると「鉄不足」の見え方が変わる
私は以前、
「貧血かどうかはヘモグロビンを見れば分かる」
くらいに思っていました。
でもフェリチンについて知ってからは、
今使っている鉄だけではなく、体にどれくらい鉄の貯金が残っているのかを見る検査もあるんだ
と分かりました。
ヘモグロビンが正常だからといって、必ずしも鉄の蓄えまで十分とは限らない。
一方で、フェリチンも単独ですべてを判断できる数字ではありません。
体調や炎症の有無、ほかの血液検査などと合わせて見る必要があります。
なんだか、
「健康診断の数字、一個だけ見て一喜一憂したらアカンのやな」
という話に戻ってくる気がします。
フェリチンは、
体にどれくらい鉄を蓄えているのかを知るための、一つの大切な手がかり。
まずはそんなふうに覚えておこうと思います。



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